5月10日のマクドナルドの話題・アレルギーの怖さを皆知っておくべきなんだろう

マクドナルドはアレルギーの表示にかなり力を入れている。最近色々あったものの、品質が売りのマクドナルドであるので、従業員に対しても本社の力の入れ方に相応の教育を行っているのだと思っていた。
アレルギー情報 一覧表 | メニュー情報 | McDonald's Japan
(なお、品質について | よくあるご質問 | McDonald's Japanには「アレルギー情報は適宜変更をしているため、店舗で資料をお渡しすることはしていません。…ホームページまたは携帯で事前にご確認されるか、店舗従業員にお問い合わせをいただけますようお願い致します。」とある。)

今日、以下の記事がはてなブックマークで話題に上っていた。
マクドナルドで食事をしたところ、蕁麻疹を発症したため、店員にアレルギーの原因となりうる物質として何が含まれているかを問い合わせたところ、その店員が回答するまでに30分を要し、その間に症状が重症化してしまった、という記事だ。note.mu
自分はいまのところ食物アレルギーは持っていないと思うが、こういうのはいつ突然わが身に降りかかるものかわからないから、人ごとではない。

食物アレルギーは、それまでなったことがない人でも突然発症するという(大人の食物アレルギー増加 突然発症、治療手探り :日本経済新聞)。いきなりでは対応に戸惑うのも当然だろう。ただ、蕁麻疹を発症し、それが食物アレルギーだと推測される時に、アレルゲンとなりうる原材料として何が考えられるかのリストを従業員に問い合わせることは、この時点では合理的な行動だったのではないかと思う。今後同じ症状が出たときにも同様の検証を行うことで、自分にとってのアレルゲンを特定できる。それによって今後の予防に繋がる。

ところが、この筆者の方が情報を求め、従業員が確かめるためにバックヤードに入ってから、異変が起き始めた。
1つは、確かめに行った従業員が、それ以降30分ほども戻らなかったこと。
そしてもう1つは、これこそが筆者の方にとって大変な思いであったと思うけれど、症状が重篤化していったことだ。
この症状の重篤化は、おそらく筆者の方にとっても、最初の従業員にアレルゲンリストを求めたときには思いもよらないことであったのではないかと思う。当初は「腕が真っ赤」という認識であり、また、咽喉という呼吸器に症状が出始めたのは、その後のことであったようだ。

アレルゲンの一覧はホームページを見れば書いてある。最初の従業員は一体何をしていたのだろうと思うけれど、「アレルギー情報は適宜変更をしている」との注意書きから考えると、最新の情報は何かということを改めて確認していたり、あるいは同じ商品名であっても、店舗によって、または入荷タイミングによって異なるということもあるのかもしれない。
想像によってマクドナルドを擁護しても仕方がないが、仮にそうであるとしても、筆者の方の症状は変わっており、緊急の対応を要する状態になりつつあった。対応者が正確性に拘るべきフェーズはもう過ぎていた。

このとき、筆者の方がどうすべきであったかを後知恵で考えると、病院への救急搬送を要請すべきであったのではないかと思う。

しかし、これは案外難しいことである。
既に自分がアレルゲンの調査を依頼しているのに、それを無視して・あるいは中止してもらって、救急搬送の要請なんて出来るだろうか。店舗に救急車が来れば、どうしてもちょっとした騒ぎになってしまう。自分が危機に身を置いていることをはっきりと自覚できれば可能だが、自分が置かれている状況なんて客観視できるものではない。自分の思っていることは大げさな考えかもしれない、という思いに打ち勝てる人間ばかりではない。

筆者の方は、最初の従業員の方が調査中である30分の間に、2人の従業員の方に自らの症状を訴え、水を希望し、また、最初の従業員が何をしているか確認するよう要請している。
しかし、水は得たものの、それ以上のことはしてもらうことが出来なかった。
理想を言えば、この時点で2人の従業員、特に具体的に「苦しい」との訴えを受けた従業員は何か対応を行うべきだったと考える。
ただ従業員は、「苦しい」という訴えを切迫感を持って受け取っていなかったのではないかとも思える。「苦しい」という訴えに切迫感を感じないならば、アレルゲンを確認している従業員に(このアレルゲンを確認していた従業員はチーフ格であったのだそうで、そのこともあって)任せればよいと考えてしまった、ということもありそうだ。

従業員個人の対応としては、そういうものだろうと思う。しかしマクドナルドという大きな会社の対応としてみたとき、それはどうなんだろうという思いがする。

ぼくは冒頭に、マクドナルドのアレルゲン情報開示の取り組みについて説明した。外食産業では、アレルゲン表示は義務付けられていない。国は、自主的な取り組みを要請しているレベルだ
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1198.pdf。そうした中での、この完璧とすら思えるアレルゲン表示への取り組みである。これは、マクドナルドが時代を重ねる中で勝ち得てきた信頼を支える一片であると思う。ついぼくは、このような表示に取り組んでいるマクドナルドであれば、お客様が不意に体調を崩した、とくに、予期せぬアレルギーによって体調を崩した場合に、どのような対応が適切であるのかというマニュアルくらいはあって、それに沿った対応を従業員に求めることができるのではないかと思ってしまう。

しかし実際はそうではなかった。

ただ正直なところ、これについてマクドナルドがお詫びをしなければならない立場にあるのかということについて微妙に思う。上の仮定の通り、従業員が切迫感を感じることが最後までできなかったとすれば、そもそも適切な対応を行うきっかけ自体なかったということもありうる。(筆者の方の記事には、当初、「治療費を払ってもらうことについて店舗が同意した」という趣旨が書かれていた。その後、「記載されたもの以外の物が混入していてそれが原因だった場合はマクドナルドの責任」であり、その場合は治療費の負担を請求するという意味であったとして、その部分を削除している。しかし、そもそも元々食物アレルギーがなく、かつ、アレルゲン情報を確認せずに食事された方に対して、アレルゲン情報に載っていない原材料が混入していたからといって、治療費を負担すべき理由があるのか多少の疑問を覚える。金銭の請求をしている方に対して、お詫びについて慎重に判断せざるを得ないのはわからないではない。《だが、賠償問題とは切り離して、対応についてお詫びをおこなう方法もある。それくらいは、きっとマクドナルドでも検討したのだろうけれど…》)。

それとは別に、やはり思うのは突然やってくるアレルギーの怖さだ。そして、医療の救いを求めることに躊躇すべきではないということだ。筆者の方が無事であったのは本当に幸いであって、さらなるボタンの掛け違いがあった時に何が起こったのか恐ろしい。自らについてだけではなくて、周りの人にもし似たことが起きていれば、やはり119番を真っ先に考えるよう心がけたいと思う(だからこそ、「軽症であれば救急車の費用の弁償を求めることを考えるべき」という、最近の政治家の発言には、異を唱えたいと思う)。

筆者の方が、アレルギーから早期に、出来ることであれば回復されることを祈ります。